中国が元A級戦犯合祀にこだわる理由

昨夜NHKNHKスペシャル『日中は歴史にどう向き合えばいいのか』で、なるほどと思ったことが一つある。それは中国が靖国神社の元A級戦犯合祀を問題視する理由である。日中国交回復の時、中国は一握りの軍国主義者と日本国民を区別し、一切の責任は一握りの軍国主義者にあり、日本国民も被害者であるとして国内の不満分子を説得し、国交回復を実現したと言う経緯がある。この区分論に立って様々な問題を問題を覆い隠すような無理をして国交回復を急いだのは、当時の世界情勢に原因がある。そして一握りの軍国主義者とは、具体的には東京裁判において有罪とされた元A級戦犯と見做した。
このように総ては元A級戦犯の責任とするのは、本当は諸々の矛盾を覆い隠すためのごまかしの行為である。だからその元A級戦犯を合祀した靖国神社に日本の首相が参拝することに文句を言うのをやめた場合、その理由を追求されても説明出来るものではない。もし区分論が便法だったなどと白状すれば、中国の根本論理が破綻してしまう。
歴史を捏造して誤魔化して来たつけは何時かは払わなければならないが、それは歴史の真実を表に出すことである。だが今の政権にそんなことは到底出来ることではない。正しい歴史を明らかにすることは、中国が歴史を捏造していたことをばらすことである。従って中国としては、永久に元A級戦犯を悪者と位置づけ、靖国神社から元A級戦犯をはずせと叫び続けるしか手段はない。つまり靖国参拝を問題とするのは、中国の国内事情から来るものであり、そうとすれば、日本がいくら正論を唱えても聞く耳などあるはずはなく、この問題は解決不能と言うほかは無い。