オバマ大統領の就任演説

アメリカで初の黒人大統領が誕生した。昨夜と言うか今朝と言うべきか知らないが、オバマ大統領の就任式の中継を、最後まで見てしまった。オバマ大統領自身が就任演説の中で、60年前にはレストランに入れなかった男が今ここに居ると語っていた通り、本当に画期的な出来事であるのは間違いない。これでアメリカは人種差別の根本的解消に向けて、歴史的な一歩を踏み出したのではなかろうか。
就任演説(ココ)は極めて抑え気味で、地味な印象を受けた。リンカンやケネディのような格調の高いものでなく、歴史に残る演説ではないだろう。それは今アメリカが直面している困難に立ち向かうために、浮かれた期待を排除し、全国民に相応の覚悟を求めることを狙ったのではなかろうか。
オバマ大統領は選挙戦では有権者の期待度を煽るのが上手いと評されたが、就任演説ではそのような浮かれた気分を煽り立てるような調子は微塵も無かった。大統領に就任するための引継ぎを通じて現実の厳しさに自身の認識を改めたためかどうかは知らない。だが現実に立脚して今後の施策を進めて行くには、色々な意味で厳しいものがあると、甘い期待を封じたものであろう。そうとするとオバマ大統領の施策は、決して現実離れした観念的なものでなく、氏が標榜する"Change"を成し遂げるに当たっても大地に足をつけて着実な歩みを進めるものと予想する。どのような手腕を見せるか注目したい。