中国の河川の酷い汚染

中国湖南省の「湘江」の汚染が深刻化していることを中国経済週刊が伝えている(ココ)。その一部を抜粋すると、

2009年4月27日、湖南省の母なる川「湘江」。重金属汚染が日増しに深刻さを増し、流域約4000万人の飲料水が危険にさらされている。中国経済週刊が伝えた。
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湘江は中国で最も汚染の深刻な河川の1つとされている。流域の一部では飲料水への供給を停止。約4000万人の飲料水は今もなお危険にさらされている。周辺地域の魚類、穀物、野菜はすでに食用に適さない状態。人体への影響も度々報告されているが、当局と企業のイタチごっこは続く。
事態を重く見た中国政府は、湘江を国の重点的な汚染整備流域に指定。2010年までに700億元(約9900億円)、15年までに3000億元(約4兆2000億円)を投じて汚染整備に取り掛かることが決まっているという。

湘江とはどの川かGoogle mapで探したら、湖南省は直ぐ出て来たが、湘江は上流の方に一つだけ表記されて、流れを追うのが難しい。そこで手持ちの世界地図で探したら、地名も河川名もカタカナで書いてある。その下に括弧付きで漢字名が書かれているのだが、字が小さいのでなかなか見付からない。拡大鏡で舐めるように探し、やっとのことで、湖南はフーナン、湘江はシャン川であることが判った。中国語の発音をカタカナで表せるものではないことを考えれば、中国の地名等を無理にカタカナで表記しようとするやり方には疑問を感じる。「フーナン」を見て湖南と判る人がどれだけ居るか、殆んど居ないであろう。新聞などの記事では漢字で表記しているので、地図も漢字で表記するべきである。
漸くのことで湘江を見付け、辿ってみると華南の丘陵地帯に発し、北上して長沙の北の湖(淳湖?)に入り、そこから流れ出た川は長江に合流している。中国の一つの省の人口は一億前後と思われるので、上記の記事から見て湖南省の半分くらいは人間が住めない状態に汚染されてしまったことになる。4000万人とは我が国の人口の1/3に相当する。大変な数字である。汚染が更に進行すると、長江中流域から下流域まで拡大する惧れもあるだろう。もしそうなったら、他の地域でも大同小異であろうから収拾不能となる。我が国でも水俣病など幾つもの公害問題が起きたが、中国のそれは桁が違う。どうやって改善するのだろうか。
中国の環境汚染改善に関連して或る中国人の言葉を思い出す。「中国は世界の工場として貢献して来た。環境汚染はその結果なので、恩恵を受けた日本も事態の改善に応分の協力をする義務がある。」と言う主張。自分らの環境意識の欠如を棚に上げ、総てを他人のせいにする言い分に、心底呆れるしかない。環境問題はボーダレスなので自衛のためにも協力しなければならないが、中国人自身の意識改革が無ければ成功は覚束ない。しっかりして欲しい。