米朝会談雑感

昨日の米朝会談は興味深かった。昨日の会談は、既に決まっていた共同声明の内容を首脳同志で確認したと言うのが実態だろう。北朝鮮国営の朝鮮中央通信が、声明の内容を会談の前日にバラしてしまっていた(ココ)。これはとんでもない掟破りだが、合意すべき事項や共同声明の内容は事前に詰めて居り、会談はそれを首脳同志で確認し、正式な合意とする場であることを意味する。北朝鮮が前日にバラしたのは故意かミスかは知らないが、とんでもない掟破りで、罷り間違ったら取り返しのつかない事態を招きかねない。危ない所だった。
共同声明の内容は具体性が無いなど、様々な批判が出ているが、非核化はそもそも時間が掛るのは当然で、今日言って明日できるものではない。具体策は専門家がこれから吟味し方法を考え実行すべきことであろう。それよりも生命に書かれていないことに注目すべきではなかろうか。北朝鮮は段階的な非核化と、それに見合う見返りを主張していた。だが声明には北朝鮮が一番欲しがる見返り、即ち制裁の解除には一言も触れていない。ということは、トランプは金正恩の面子は潰さず、体面を保ったが、見返りは一切与えなかった。つまり名は与えたが実は一つも取らせなかったと言えよう。会談で金正恩がそれに文句を言った気配もないのは、米朝交渉は北朝鮮の全面降伏に等しいと見て間違い無いのではないか。金正恩の名誉を保つことで非核化を実行させる。そしてそれが完了するまでは制裁の解除や緩和はお預け。米朝の圧倒的な力の差の下では、言いなりになって勘弁して貰うしか取る道は無かった。何しろ乗る飛行機もなく、宿賃も払えないのだから、手も足も出なかったのは無理もない。次は拉致問題解決の交渉である。安倍さん頼みますよ。