フェデラーにロディック歯が立たず

ウィンブルドン男子シングルス決勝は、フェデラーが圧勝。フェデラーは既に完成された感があるが、ロディックは発展途上で、その違いを見せ付けた。フェデラーはオールラウンドタイプで、サンプラスに近い。試合の組み立てがしっかりしている。この点はダベンポートも共通していて、深いストロークで相手を左右に振り回し、ここぞと言うときにオープンコートか相手の動きの逆を衝くショットを放つ。ダベンポートの場合はビーナスが信じられない切り替えしで逆襲されたが、フェデラーはその切り替えしもやってのけた。つまりフェデラーはダベンポート+ビーナスだったと言えるだろう。
フェデラーとダベンポートに共通するのは、レシーブ力が優れていること。ロディックもビーナスも、男女の違いはあるがサービスの速さは他を圧している。ところが決勝戦ではどちらもエースを滅多に取らせて貰えなかった。フェデラーとダベンポートのレシーブ技術とサーブのコースを読む力が優れていることによるのだろう。
フェデラーとダベンポートの試合運びでもう一つ感じたことがある。スコアの上では競っているようでも、二人とも決して無理せず、しかし付け入る隙を見せずに余裕を持って試合を進めるが、勝負所と見ると猛烈な気迫で一気に攻め込んで相手を圧倒し、ゲームを奪ってしまう。それがセットの終盤であれば相手はブレイクバック出来る可能性は極めて少なく、ダメージは非常に大きい。競っていてもそのような場面でブレイクしてしまう上手さ、強さに感心させられた。
そのダベンポートをもってしても遂にビーナスを崩し切れなかった。ビーナスは終盤にブレイクされながら、その次、ダベンポートのサービング・フォー・ザ・マッチのゲームをブレイクバックしたのだから凄い。ダベンポートにして見れば、あと1ポイントで優勝と言うところまで追い詰めながら、栄冠はするりと逃げてしまったわけで、まことに残念だっただろう。ビーナスの精神力もさることながら、ダベンポートは体力の限界だったのかも知れない。腰を傷めていたことと、途中で25本のラリーが続いた後、ダベンポートはラケットを杖にして下を向き呼吸を整えていたが、ビーナスはけろっとしていた。計り知れない体力の持ち主と言うほかは無く、その差も大きかったのだろう。