『将門WebマガジンNo.261 2005/08/22』から

周さんの『将門WebマガジンNo.261』と関連する記事の中に、大いに頷ける言葉が幾つかあり、忘れていたことを思い出させて呉れた。

 この落ち込んでいる社長は、もう誰かが全部解決してくれるのを期待しています。自分はもうどこかへ逃げたくて堪らないのです。でも私はあくまで、いいました。

   あなたがやらないと、代表取締役であるあなたがやるべきことをやらないと解決しませんよ。

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どうやら、今は解決しました。解決というのは、もうその新会社を閉めたということです。もったいないのですが、もうそれがその社長の意向なのです。いままでは閉めることもできそうもなかったのですから。
 私はこれが、責任をもつ代表取締役社長の果たす役割だと思っています。正しいか否かではなく、会社を閉めるということが目的ならば、方法はさまざまであれ、それに向かって代表取締役がやりぬかなければならないのです。

実務に携わる人は正論を主張するだけでは駄目で、正しいか否かではなく、やるべきことをやり遂げねばならない。少々耳が痛い。

 政治をやる醍醐味というのは何でしょうか。私も少しは政治に関わってきましたから(これは学生時代の革命運動や労働組合の運動等々でです)、それは何かというのが少しは判るつもりです。それは、いろいろあるわけですが、一つ言うとすると、

   自分の反対党派とか批判勢力に、自分の思っていることを言わせたり、やらせてしまうこと

これは政治だけではなく、交渉ごとでも対人関係でも言えること。これをいつも出来る人は達人と言って良いのではなかろうか。

 このことは、私が歴史を見て考えたということではなく、自らの経験の中で考え行動をした中で、歴史を見て考えていることです。井上成美は明確に「日本が戦争には勝てない」と判っていたのなら、戦争を阻止するように動くべきです。あの戦争で亡くなったのは、私の父や母のような普通のどこにでもいるたくさんの庶民です。何もわからないまま、言われるまま戦争に行ったのです。偶然私の父は生き残れたから、私が存在できたにすぎないのです。

井上成美は責任ある立場の人間であるからには、命がけで戦争阻止に、或いは戦争終結に動くべきだと言うのは正しい。兄はあの戦争は勝てないと知りながら、国を、民族を、家族を守るために志願し、そして散った。責任者は勝てないと判っていたなら、一刻も早く戦争を終結させるのが使命である。戦争終結があと数日早ければ、兄は生還したかも知れないのだ。