今年の異常気象と複雑な地勢の絡み

高知の人のブログに先日の雨を「恵みの雨」と書いていた。石手川ダムの今朝の貯水率が86.4%で、今の所松山市の水は心配ない。通常なら高知県が連続豪雨に見舞われても、松山市は恵みの雨を待ち焦がれる状態が多い。今年はそれが全く逆。だから異常気象なのだと言えば判ったような気になるが、本当にその解釈で良いのだろうか。
先日関西の知人が四国は水不足らしいが大丈夫かと心配して呉れた。他県の人に四国の地域差は判らないのは無理はない。四国は地勢が複雑で、隣接する二つの地域で状況がまるで異なる。松山市と旧北条市や、高松市と旧津田町などその一例。石手川ダムを水源とする松山市渇水でも、北隣りの旧北条市高縄山系からの伏流水があるので大丈夫。早明浦ダムに依存する高松市が水不足でも、近くの旧津田町は阿讃山脈から流れ出る水があって困らない。東予西条市石鎚山からの伏流水が至る所で湧き出る水の町。それが今年は西条市も伏流水が涸れ掛け、石手川ダムの水は底を尽き、松山市は大渇水の危機に曝された。だが梅雨に入る前後に松山市などに大雨が降り、石手川ダムも満水となって渇水の危機は回避されたのに、吉野川水系に雨が降らないと言う異常さ。
どうやら雨雲がどの方向から来るかによるらしい。雨雲が来ても高い山脈にぶつかって山脈の手前に雨を降らすが、雨は山脈を越えない。入梅前後の大雨は関門海峡の辺りから瀬戸内海に入って来たおかげで、松山市など通常雨の少ない地域に水を恵んで呉れた。異常気象も地勢との相互作用で、影響は地域によって大きく異なるのを見せ付けた。雨が太平洋側から来るとこの逆になる。このことを思うと今年の異常気象とは、太平洋側から進んで来る雨が例年に比べて少ないと言うことだろう。それが地勢と絡み合って現在の状況を作り出している。
狭い四国の地域差は複雑な地勢が齎すものと言えそうだ。地勢の影響は水だけでなく、地域ごとの文化や習俗の成立にも決定的な要因となっていることを思わざるを得ない。