TBSよ世の中の動きを自分なりに掴め

周さんのメルマガに吉本隆明の言葉が紹介されている。

 玉音放送を聞いたときのぼくは、まさにその衝撃と虚しさの中に突然、ほうり込まれた状態だったのです。
 そのとき以来、ぼくは今までこうつねにこう思ってきました。今世の中がどうなっているか、どんな方向に動いているのかを、いつも自分なりにつかんでおくべきだ。そうでないと、自分の意志とは関係ないところで社会に大変動が起こったとき、とんでもないことになってしまうぞ、と。
 大切なのは、今の時代の姿を自分で判断することです。
(「13歳は二度あるか」2005.9.30大和書房「第1章新聞を読む、時代をつかむ」)

今回の楽天とTBSの問題、先般のライブドアと日本放送との問題で、TBS及び日本放送に問いたいのはこれである。両社は今世の中がどうなっているか、どんな方向に動いているのかをしっかりと掴んでいるのだろうか。とてもそうは思えない。
政界においては自民党では特定の利権集団と連なる族議員が大幅に淘汰され、利権構造と言う特定の団体や業界の利益を守る閉ざされた仕組みが消滅しつつある。これの影響は凄く大きく、世の中の仕組みを縛って来た枷が消え、我が国においても今後は変化が加速されるであろうことを予感させる。放送業界も今まで依存して来た仕組みがもはや力を失い、自分達だけの閉ざされた枠組みに安住できる時代ではなくなっていることを悟らねばならない。
これからは新しいビジネスチャンスを求め、新たなビジネスの仕組みを構築しようとする動きが激しくなるだろう。放送とITとの融合は必然の方向であり、TBSに対する楽天の申し入れもその現れである。今ではCATVとインターネットと携帯メールを統合するシステムを開発しつつある企業も現存する。しかし、CATVとインターネットとの連携は、我々素人でも10も前に予想し得たことで、やっと動き出したか、遅いじゃないの、と言う印象でしかない。それにも拘わらず、TBSや日本放送が今になっておたおたするのは、世の中がどんな方向に動いているのかを全然考えていなかった証拠と言われても仕方ない。そんな状態では世の中の変動に対処できる筈がない。吉本隆明の言葉をしっかりと噛み締めて欲しい。