宮大工の口伝

「佐藤直曉のリーダー研究所」の「リーダーの暗示学505――棟梁の条件」で、氏は「リーダーの条件を考える上で、宮大工の口伝が参考になる」として、宮大工の口伝を幾つか紹介している。その最後に、「これは厳しいですよ。」と警鐘を鳴らしつつ、「百工あれば百念あり。一つにする器量のない者は、自分の不徳を知って、棟梁の座を去れ。」を掲げている。
もう一つ、本田宗一郎の言葉もある。「人を動かすことのできる人は、他人の気持ちになることができる人である。相手が少人数でも、あるいは多くの人びとであっても、その人たちの気持ちになりうる人でなければならない。そのかわり、他人の気持ちになれる人というのは自分が悩む。自分が悩まない人は、他人を動かすことができない。私はそう思っている。自分が悩んだことのない人は、まず、人を動かすことはできない。」
組織のリーダーはこれらの言葉を噛み締めねばならぬ。これらを拳拳服膺して欲しい人は多いが、そういう人は実は何も感じないのかも知れない。百念を持つ百工を一つにする器量無く、他人の気持ちになることの出来ないリーダーは、組織を崩壊させる。