中国を譲歩させた対北決議採択10日間の攻防

「iza by 産経新聞」は北朝鮮非難決議採択に至る10日間の攻防を、2本の記事で伝えている。『対北決議採択10日間の攻防 中国譲歩させた日米の絆』と『北巡り安倍・麻生氏“蜜月”「AA連合」総裁選にも影響?』である。これを見ると小泉首相だけでなく、麻生外相もなかなかの喧嘩上手と言う気がする。今回の成果は小泉・麻生・安倍の三者が緊密に連絡を取り合い、一貫した態度を崩さなかったことにより齎されたものであり、それを支えたのは日米の強い絆であったと言えよう。
一方北朝鮮と中国の間に亀裂が生じていたらしいことも見逃せない。Sankei Webの『金総書記「中国は信じられない」韓国紙報道』によると、金総書記が今月初めに訪朝し極秘に会談した米国関係者に「中国は信じられない」と述べ、友好国中国の指導部に対する不満を吐露していたと言う。事実かどうかは判らないが、北朝鮮と中国の間がしっくり行ってなかったことは多くの出来事から推測され、これでは中国の説得が成功するはずもない。そのような状況であっても中国は北朝鮮を放り出すわけに行かず、安保理での攻防はさぞ苦しかったと思われる。結果として北朝鮮の説得の責任を免れたわけでなく、今後も難しい舵取りが待っている。
安保理を舞台にした10日間の攻防は、日中外交戦争だという指摘があるが、確かにそれが本質であったろう。戦後初めてイニシアティブを取り一定の成果を掴んだのは、今後の日本外交を象徴するものとして高く評価して良いと思うし、この成果を得るまでの経緯を振り返って多くの教訓を抽出し、今後それを生かして行くことが肝要だと思う。