関東ローム層の遺跡・岩宿遺跡

岩宿遺跡は火山灰層である関東ローム層中で見つかっている。岩宿石器文化(約3万年前)と岩宿II石器文化(約2万年前)と、時代の異なる二つの時期があった。縄文遺跡は関東ローム層の上に重なる黒土層から出ているので、岩宿遺跡の時代から一万年以上の年月が経過している。縄文人は既に安定した黒土層の上で暮らすことが出来たが、岩宿遺跡の人たちはどうだったのだろうか。大雨が降れば泥流の危険に曝されながら生活していたのだろうか。その頃にはもう狩をするだけの森林が広がり、土地も安定していたのだろうか。もしそうだとすると、火山灰層がそのように安定化するまでにどれ位の年数がひつようなのだろうか。それまでは人間が住める状態ではなく、別の場所で暮らしていたのだろうか。
フィリピンではマヨン火山やフィナツボ火山の噴火で堆積した分厚い火山灰層が広がっているが、これが安定するまでは、火山灰層は勿論、泥流の危険がある場所は本質的に住めない、或いは住んではいけない地域と考えるべきなのだろうか。現在国際的な協力で砂防工事をやっているようだが、その程度の対策では埒が開きそうもにと思うが如何なものか。自然の力の前では人間は無力に近いことを改めて思い知らされた感じがする。