海自艦がベトナムで接触事故の報道

ベトナムホーチミン港で接岸しようとしていた護衛艦「はまゆき」が、岸壁に停泊中のカンボジア船籍の貨物船「MASAN」と接触する事故があった(ココ)。この接触事故は水先案内人の指示でタグボートを使って入港作業中に起きたとのこと。海自幹部は「現地のパイロット任せとはいえ、危険を感じたら自分で指示を出すのも艦長の仕事」と話し、艦長の指示の適否が今後の原因調査の焦点になるとの見方を示したそうだが、この見解はちょっと腑に落ちない。狭い港内や瀬戸内海の来島海峡のように航行が難しい場所では、航路を熟知した水先案内人を依頼するが、その場合は水先案内人に全責任があるのではないのだろうか。この点については専門家に聞かねば何とも言えないが、気になるのはこの報道の『またやった? 海自艦がベトナム接触事故』というタイトルである。事故の原因や責任の所在などが明らかになっていない現時点で、海上自衛隊を揶揄するようなタイトルが適切とは思えず、「またやった?」は余分であろう。同報道は、先の衝突事故で自衛隊叩きが横行する風潮に阿たもので、余りにも軽佻浮薄に過ぎる。報道に携わる者は、常に冷静で、物事の根本まで深く鋭く見通す眼を持たねばならない。