新銀行東京をどう考えるべきか

経営難に陥っている新銀行東京に対する東京都の追加出資問題で、東京都は揉めているが、この銀行を設立した当時の状況と目的を踏まえた議論が必要であろう。
当時の状況はバブルが弾けて銀行が一斉に貸し剥がしに走り、多くの中小企業は資金繰りが立ち行かなくなった。その苦境を救うために極めて緩い審査で融資を行って、中小企業を支援するのが、銀行設立の目的だったと記憶する。
銀行が貸さないところに融資するのだから、もともと返済不能に陥る危険性が高く、採算が取れないのは火を見るより明らかではなかったか。融資先の何%くらいが軌道に乗ると見ていたのだろうか。素人が見てもその率は低いであろうと容易に推測できる。そのように低い回収率しか見込めない融資を行うのは、中小企業がばたばた倒れては大問題になるので、相当の回収不能を覚悟の上、少しでも救うことが目的だった筈である。このように考えたのなら、採算を問われる銀行と言う形態にしたのが間違いで、都民の理解を得た上で、都が直接融資すべきだったと思う。
今問題になっている追加出資も、当初目的を踏まえた上で議論しなければならない。銀行として存続させることを至上命題とするのは、当初目的から逸脱していると思うが如何であろうか。新銀行東京が或る程度目的を達したのなら、昨今の経済状況から見て、この際清算することも視野に入れるべきだろう。