ガソリン税について

福田首相が27日夕の緊急記者会見で、道路特定財源を来年度から一般財源化するとの提案は、与野党から総すかんを食らっている(ココ)。伊吹氏は「党内手続きを取っているものではない。(首相は)政府としての考えを言っている」と突き放し、首相周辺は「支持率低下でどうしようもなくなり、小泉純一郎元首相なみの指導力を発揮しようとして求心力を高める作戦に出たのだ」と解説する。そして自民党ベテラン議員は、「確かに小泉氏が郵政民営化など党内抵抗勢力との対決構図を利用して、政権浮揚につなげてきた。しかし、同じことをしようとしても、信念のある小泉氏と何も信念のない福田首相とでは迫力が違う。また、小泉氏の場合、幹事長にイエスマン武部勤氏を起用するなど、すくなくとも党執行部は味方にしていた。対して福田首相は執行部に敵に回した形で、これでは政権はもたない」と言い、記事は最後に「福田首相は政権爆破の導火線に自ら火をつけてしまったようだ。」と結んでいる。
一方、塩崎恭久氏は自分のサイト「やすひさの独り言」で、「総理の決断を高く評価する」(3月28日)と題する一文で、総理の改革姿勢を高く評価している。一部を引用すると、

安倍内閣道路特定財源改革に取り組んだ際、暫定税率については、国・地方の財源確保ももちろん大事だが、それと共に、地球温暖化対策の観点から、ガソリン等の価格引き下げに繋がる暫定税率の廃止や引き下げはCO2排出増になるため取り得ない、という共通認識があった。サミット議長国
が、率先してCO2排出量を増やす政策をとることはできない。従って、今後暫定税率に関しては、まず「環境問題への配慮から、ガソリン価格の引き下げに繋がる税制変更は取り得ない。」とした上で「国・地方の厳しい財政状況、地方の道路整備の必要性を踏まえ、今後の税率について検討する」と続くのが筋だろう。

我が国のガソリン税は、国際的には環境税と取られていると聞く。そのガソリン税を今減税するとなると、それに代わるものがないからには、日本は環境対策を放棄したと取られる惧れがある。安部内閣時代の認識はその意味で正しく、塩崎氏の主張は筋が通っている。これに比べると伊吹氏などの発言は足の引っ張り合いと聞こえる。次いで塩崎氏はこの問題に取り組む姿勢について、次のように述べている。

こうして総理が道路特定財源全体の一般財源化を宣言するに至ったことは、この改革に深く携わってきた者として大きな感慨がある。ねじれ国会により永田町を取り巻く旧来的な政治力学が大きく変わったことのなによりの証左だろう。ねじれ国会による政治の停滞をなげくのではなく、ねじれ国会という状況下でしか実現できないような大胆な改革を進めていく。これこそが、我々与党が果たすべき「答えを出す政治」の目指すべき道である。

この姿勢は正しい。ねじれ現象を逆手に取り、野党の強い反対を利用して大胆な改革を進めるのは、政権担当者として当然の任務である。皮肉なのは上に紹介した自民党ベテラン議員の小泉氏なら出来ても福田氏では無理という言葉で、残念ながら同感せざるを得ない気分だ。
マスコミは本件をガソリンの値段とか政局という観点から報じるのでなく、環境問題や地方財政など、大所高所に立った質の高い報道をすべきである。