大荒れの11日目

千に一つも無いと思われた番狂わせが三番も起きた。
千田川親方が気力が充実した時の千代大海は恐いですよと言った言葉の通り、千代大海は今場所絶好調の琴欧洲を土俵に這わせてしまった。琴欧洲は昨日の対稀勢の里戦同様両差しを狙ったのだろう。両腕を交差して突っ込んだが、千代大海は二度三度と突っ張りで撥ね上げ、琴欧洲がなおも出ようとするはなを叩き込むと、琴欧州はばったり土俵に倒れてしまった。
次ぎは魁皇。上手は取れず朝青龍の左腕を右腕で抱え、土俵中央で一呼吸。朝青龍が右上手を掴もうと出た瞬間、体を開いて小手に振ったら、朝青龍は勢い良く土俵の外に飛び出してしまった。土俵を降りた後、控えに座った朝青龍は余程口惜しかったのだろう。土俵を叩いた顔が印象に残る。
三番目は琴光喜。自分は上手を取り白鵬に上手を与えない相撲を取ると言っていたらしい。そんな相撲が取れる筈はあるまいと思ったが、本当にやってしまった。何時にも増して鋭く立ち、自分は右上手を取りながら白鳳に上手を取らせない。白鵬はリーチが長いので、上手を取らせないのは至難の業。それを実際にやったのだから凄いの一言。どうやってそんなことが出来たのか、もう一度スローで見てみたい。その後攻めに攻めて白鵬を防戦一方に追い込み、最後土俵際に追い詰めて寄り倒した。今日の白眉の一番で、琴光喜にとっても生涯最高の一番であろう。錣山親方は取り組み前に、場所を面白くして欲しいですねと言っていたが、白鵬が負けるとは思わないからこその願望だった筈。その場所を面白くする一番が三つも出たのも、日食のせいだろうか。日食を見ると人生が変わると何人もの人が述懐していたが、本場所をも変えてしまったようだ。