亀井と井口に「サヨナラ賞」今季から制定

セ、パ両リーグは27日、今季から制定された「ドラマティック・サヨナラ賞」に巨人の亀井とロッテの井口が選ばれたと発表した。この賞はレギュラーシーズンで最も印象に残るサヨナラ打を放った打者に送られる(ココ)。

これは面白い賞だ。首位打者にしてもホームラン王にしても数字の世界。かっての大スター長嶋と王について、長嶋は記憶の人、王は記録の人と言われる通り、王は最もホームランを多く打った打者として評価されるのに、長嶋を評価する賞はない。長嶋の生涯記録を見ても、傑出した数字は残していない。長嶋の現役時代を知らない人が記録を見ても、大した選手と思えないのも無理はないだろう。だが彼のファンは長嶋はいつも打っていたような印象を持っている。それは、ここで打って呉れと言う場面で実に良く打っていたからだ。それは特点圏打率でも表せない。大量リードしている場面で打点を挙げても記録は上がるが、そんなものは意味は無い。長嶋はここで打てば同点、逆転、或いはサヨナラという場面、好投している相手ピッチャーを打ち崩す一打など、手に汗握る場面で良く打った。打って欲しいと願う場面で打つので、ファンはいつも打っているような感覚になる。それが記憶の人と呼ばれる所以である。
そのような記憶の人はまだ居る。南海ホークスの名ショート広瀬である。阪急プレーブスの福本の前の盗塁王である。数字の上では福本に抜かれたが、広瀬は走ろうと思えばもっと走れたはず。彼はここぞと言う場面では果敢に走ったが、盗塁しても意味のない時には走ろうともしなかった。名人気質であり、長嶋とは別の意味で天才選手だった。
サヨナラ賞はそのような記憶に残るプレイに対する賞である。単に数字を比較するのでなく、上に挙げたような印象に残るプレイ、記憶に残るプレイを記録する手段が欲しい。その一つとなると思うので、サヨナラ賞の創設は有意義である。