埼玉県から来た客

伊豫銀前の湯築城の入り口で、観光客が案内板を写そうとしているので、写し終わるのを待っていたら、こちらに気がついて済みませんと道を空けて呉れた。遠くから来たのか尋ねると、埼玉から来たと言った後、続けて道後温泉に縁のあるものがここに有ると聞いたがそれは何かと尋ねて来た。それは道後温泉の最初の湯釜で、直ぐ近くだから案内しようとそちらに向かった。
この湯釜は何時造られたのかとの質問。造られたのは天平年間で、明治になって新しいものと入れ換えた時、古い歴史を持つものなのでここに移して保存したこと、元寇の後、河野通有が従兄弟の一遍上人に頼んで湯釜の蓋に「南無阿弥陀仏」と彫って貰ったことなどを説明。古い歴史が有るんですねぇと感嘆の面持ち。
その後、資料館に行くと言ったら自分も見たいと同行。資料館で模型や展示史料を見ながら湯築城の構造や立地条件、歴史などを簡単に説明すると、自分も弓をやっているが、この構造だと弓矢では攻めようがありませんねと感想を語っていた。
まだ若い人だが城郭や歴史にも詳しい様子で、史料やデータの意味することを的確に読み取っていた。こんな人は初めてだ。何をしているのか聞きそびれたが、久し振りに説明のし甲斐の有る人に巡り遭った。帰る時礼と共に握手を求められた。