交渉に際しては相手の心の内を的確に把握することが肝心

人と人との交渉においても、国と国との交渉即ち外交においても、相手の心の内を正確に掴むことが欠かせない。今回のプーチンとの交渉でも、ロシアが北方四島に拘る理由を理解して当たらなければならない。
ロシアは昔から不凍港を求めて南下しようとした。そして日清戦争終結時に三国干渉を行なって旅順を抑えることの成功した。ところがやっと手に入れた旅順も日露戦争で失ってしまった。残ったウラジオストック港は不凍港ではあるが、太平洋に出るには千島列島か沖縄諸島の島と島の間を通るしかない。ロシアや中国・韓国にとって日本列島は太平洋の荒波を抑えてはよ呉れるが、太平洋への出口を塞ぐ、実に邪魔な存在である。
そこでロシアは前大戦終了時のどさくさに紛れて千島列島だけでなく、北方四を手に入れ、北海道を抑えることには失敗したが、太平洋への出口を確保した。その結果、オホーツク海を自国の内海とすることに成功した。今北方四島を変換したら、またまた太平洋への出口が制限され、更にそこの米軍が進出したりしたら、ロシアの安全保証が心もとない状態が生まれかねない。プーチンが日露間で交わした以前の文書に、二島を返還しても主権を移譲する時期は書いてないなどと屁理屈みたいなことを言う背景には、自国の安全保証に関わる不安を懸念していることを示していると解すべきであろう。
北方四島の返還を実現するには、ロシアのこの懸念を払拭することが一番の難問題であるように思うが如何?