藤井聡太四段が29連勝の快挙

藤井聡太四段が遂に公式戦29連勝を達成。神谷広志八段の28連勝を抜く新記録。凄いとしか言い様が無い。2002年7月19日生まれと言うからまだ14歳。21世紀生まれで初の将棋棋士とのこと。三段戦を突破し、プロ棋士になってデビュー戦から未だ負け知らず。その藤井四段はAI将棋の申し子らしい。今まで将棋と言えば定跡の選択に始まり、先ず守りを固めて、先人達の棋譜を研究して編み出した戦法で戦いを進めて行くものだった。それが聞くところによると藤井四段はAI将棋で鍛えたためか、守りに割く手数が従来より少なく、積極的に攻めに向かうと言う。将棋には素人でも何となく分かる気がする。
近年のコンピュータ・ソフトの進歩は凄まじい。その進歩の凄さは画像処理や将棋ソフト、囲碁ソフトの進歩を見ても強く感じる。それを可能にしたのはプログラミング言語の進歩によるものなのかと想像するが、一昔前には想像も出来なかったことを、今は苦も無くやってのける。この分では経験と言うものがまるで物を言わない時代になりつつあるのかも知れない。
このような時代を招いたのは戦後の半導体バイスの出現に始まり、それを使ったコンピュータの進歩である。我が国の半導体産業の誕生は昭和32年で、Geトランジスタの量産に始まり、やがてSiデバイスに移行し、昭和40年前半にICの生産が始まり、コンピュータもIC化した。それが今やLSIから超LSIへと進み、スーパー・コンピュータの時代となり、やがて量子コンピュータが実現すると言われている。この凄まじい進歩・発展はハードだけでなく、ソフトも平行して進歩・発展した。昭和32年に日本初の半導体工場を立ち上げた時、こんな展開は想像も出来なかった。
半導体バイスの進歩、それを使ったコンピュータの発展、それを支えるソフトの展開。これが世の中の変化、発展の原動力になったことは間違いない。その結果として藤井四段のような今までとはタイプの異なる棋士が登場し、恐らくは将棋そのものを大きく変えて行くだろう。このような変化は当然囲碁にも起きる筈。世の中が、世界がどう変わって行くのか、楽しみであり、恐ろしくもある。