尾道市の時宗寺院

一遍上人の出身地である愛媛県時宗の寺は道後の宝厳寺と内子の願成寺の二寺が残ったに過ぎないのに、尾道市には多いと聞く。検索して調べると、六寺が見付かった。
 ◆海福寺 かいふくじ 1328年(嘉暦三年)他阿上人の開基。
 ◆慈観寺 じかんじ  1348年(貞和四年)に慈観上人が別の場所で開いた。1615年(元和)ころ、現在地に移された。
 ◆常称寺 じょうしょうじ 1309年(延慶二年)時宗第二世の他阿真教が開いた。
 ◆正念寺 しょうねんじ  一遍上人の跡を継いだ歴代の遊行上人は全国に念仏道場を開いたが、この寺もその中の一つ。
 ◆西郷寺 さいごうじ 時宗の古刹。正慶年中(1332〜1334)遊行六代一鎮上人の開基と伝えられる。寄棟造本瓦葺きの本堂は1353年(文和二年)足利尊氏の建立と伝わる。「鳴き龍天井」で知られ、本堂は国の重要文化財
 ◆海徳寺 かいとくじ 1275年(建治元年)久保沖の突き出た中州に、時宗の開祖・一遍上人が構えた「沖の道場」が起こり。1926年(大正五年)の大火で全焼し、昭和三年に現在地に移された。

時宗の寺はどこも檀家が少なく維持するのが難しく、多くの寺が改宗しているのに、尾道時宗の寺が今も沢山ある。何故尾道時宗の寺が多いのかは、尾道の歴史家の間でも今も謎とされていると言う。

このように各地域はそれぞれ異なる特色を持つ。その地域を語るには、地域の歴史や文化を日本の歴史と組み合わせて説明できなければならぬ。だがそれが出来る人が各地域にどれだけいるだろうか。

尾道にせよ松山にせよ、古い町にはその歴史(文化)があるが故に、これを大切にすれば地域の『教育力』となり、これからの時代を生き抜く町の力になってくる。それが地方分権社会の根底になければならぬ。