42年後の卒業式

大空襲は3月10日の一回だけではない。この年、我々は国民学校(今の小学校)卒業の年だったが、その卒業式の日、式が始まって直ぐにに空襲で避難したが学校は焼けてしまい、卒業証書は貰えず終いだった。それから42年後、遡って卒業証書を出そうと言う話が持ち上がり、その小学校の卒業式で、当時の先生から一人一人名前を呼ばれ、ハイと返事をして演壇に進み出て、卒業証書を頂戴した。中には自分の子供と一緒に証書を貰う者、子供の目の前で貰う者も居り、感動の一日だった。
後で聞いた話だが、この式で現役の先生方は凄い衝撃を受けたそうで、式の後、先生たちは「40年後に我々は今の子供たちと今日のように心が通い合うだろうか」と、職員室は無言が続いたと言う。
この後、遡って卒業証書を授与した小学校が幾つか続いたが、我が西原小学校はその第一号だった。この事態は後にも先にもなく、この年だけのものである。