日中国交回復時の共同声明は何だったのか

1972年9月29日に署名された日中共同声明で、日本国は、「過去に於いて日本が戦争を通じて中国国民に重大な被害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する」と表明し、中華人民共和国は、「中日両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する」と表明した。次いでこの共同声明に基づいて1978年10月23日に日中平和友好条約が締結されている。これで両国間の戦争問題は解決しているのではないのか。国と国とが合意したことを現在の中国政府が蒸し返すとは、当時の自国政府を否定するのだろうか。たとえ革命で奪い取った政権であっても、国家間の約束は引き継がねばならない。
戦後の日中関係は、上記の共同声明を基盤として築かれねばならない。この共同声明を発表したと言うことは、過去のことはこれでお終いとすると言う意志の表明である。日韓基本条約も同じ。双方が既に合意したにも拘わらず、過去をとやかく言うようでは、この両国とは何を約束しても信用できないことを意味する。
毛沢東については功罪があるが、国際感覚は周恩来と共に真っ当な政治家だったと思う。