志村正順アナ野球殿堂入り

オールサター戦が始まり、第一戦の5回終了時に、野球殿堂入りする3人の表彰式があった。巨人V9のキャッチャー森、鉞投法の村田と、往年の名アナウンサー志村正順氏である。野球選手でない志村氏の殿堂入りは異色だが、近年にないヒットと思う。
志村アナは野球の真髄に通じ、つまらぬ試合でも面白く楽しませた名アナで、忘れられない逸話がある。ある試合(早慶戦ではなかったか)でランナーを置いて4番に打順が廻って来た時のこと。攻撃側のチャンス、守備側のピンチで試合の帰趨を左右する場面。志村アナは「この音をお聞き下さい」と言ったまま黙ってしまった。球場全体が固唾を呑んで静まりかえる中、聞こえたのはキャッチャーミットにボールが入る音4回。敬遠の四球である。ごちゃごちゃ喋るより的確にその場の状況をイメージさせる素晴らしい演出だった。この話は志村アナを伝える語り草になった。選手ではないが野球を支えて来たこのような人を選んだことに拍手を送りたい。