『熊野古道』は文化遺産

国際日本文化研究センター川勝平太氏の講演をTVで聞いたが、その内容は非常に興味深かった。『熊野古道』は自然遺産として登録されると考えていたが、文化遺産として登録された。その理由は、熊野古道の風景は確かに自然景観であるが、その景観には心の投影がある。例えば年輪を重ねた御神木があったとする。その木自体は自然の産物であるが、神の木として大切にされ崇められて来たと言うことは、その木に多くの人の心が投影されている。那智の滝は自然の景観であるが、訪れた人がその滝に手を合わせて拝むのは、やはり人々の心の投影がある。どちらも自然のものであっても、それは文化的景観である。つまり『熊野古道』は全体が文化的景観であるとして、文化遺産とされたと言う。
「心の投影」「文化的景観」と言う概念は初めて聞いたが、成る程と思った。道後に観光客を誘致するのに、人々の心が投影されたと言えるものが有るだろうか。今までやって来たことは「心の投影」をないがしろにし、お接待の心も失っているのではないか。道後は「心の投影」「文化的景観」と言う概念を認識し、一から出直すことが必要だと思う。