イタリーの見事な勝利

イタリーは前半に一人退場となり、10人で戦い抜き、終了寸前にPKで一点をもぎ取って勝利。この試合で印象に残ったのは両チームの作戦が明確だったことで、後半途中にトッティが投入されるまでは守備に徹し、強固に守り抜いたことである。前線にはFWを一人置くだけで、ボールを取るとFWにロングパスを送るだけ。直ぐに相手に取られてしまうが、それは承知の上。一人少ない状況では無理に攻めても上手く行く確率は低く、カウター攻撃を食らったら守備が破綻する。攻撃に防禦に走り回って体力が消耗するのを避けたのだろう。攻撃はしないが守りは流石にイタリー、鉄壁の守備でゴールを許さない。後半にトッティが登場してから少しずつ攻める場面もあったが、まだ無理はしない。これは守り抜いてPK戦に持ち込む腹かと思った。ところがロスタイムに入ってから人数を掛けた攻めに転じ、終了間際にPKをもぎ取り、トッティがしっかりと決め、その直後にタイムアップ。
オーストラリアのヒディング監督は延長戦で新手二人を投入して、主導権を握る作戦だったのであろう。延長戦に入ったら、オーストラリアは新手を二人投入出来るのに対し、イタリーは交代枠を使い切っているので、90分戦った10人で対戦しなければならず、不利は否めない。ロスタイムに入ってからのイタリーの攻撃は、延長戦を避けるための賭けだったように思う。賭けは見事に成功し、終了間際の一点で延長戦は無くなり、ヒディングの作戦も幻と消えた。
もし延長戦にもつれこんだら、オーストラリアは猛攻を仕掛けて延長戦で勝負を決める作戦、対するイタリーはまた守備に徹し、最後のPK戦に賭ける積もりだったのであろう。これほど両チームの作戦が明瞭に見えた試合は珍しい。