等妙寺旧境内が国史跡指定へ

今朝の愛媛新聞は、鬼北町の等妙寺旧境内が国史跡指定されることを報じている。その先頭部分を引用する。

国の文化審議会(石沢良昭会長)は16日、北宇和郡鬼北町中野川の中世山岳寺院跡・等妙寺旧境内を国の史跡に指定するよう、渡海紀三朗文部科学相に答申した。数カ月以内に官報告示される見込みで、県内では永納山城跡(西条市河原津ほか)以来、11件目の国史跡となる。

中世山岳寺院である等妙寺旧境内は以前から話に聞き、その出土遺物などから注目していたのだが、場所が鬼ヶ城山系に連なる郭公岳(標高1010m)の尾根筋と言う誠に不便な場所で、未だに行く機会がない。等妙寺は鎌倉期の戒律復興運動のなかで遠国四箇の戒場として定められた天台律宗系寺院で、鬼北町教育委員会により1994年から発掘調査が実施され、14世紀から16世紀末まで機能していたことが明らかになっていると言う。平成18年8月26日(土)・27日(日)に開催された「山寺サミットin 下呂」でも取り上げられ、鬼北町教育委員会出渕公造氏が「豫州奈良山等妙寺について」と題して事例報告を行っている。
等妙寺旧境内は遺跡の存在が確認されてから今日まで、16年が過ぎたそうだが、関係者のご苦労が偲ばれる。湯築城跡保存運動に長く携わった一人として、ご苦労様でした、おめでとうございますと、心からお祝い申し上げたい。等妙寺旧境内の多角的な調査・研究はこれからが本番であろう。単に仏教史の面だけでなく、地域文化との関連や、他地域との交流など、解明を待つ課題は多い。地方自治体は財政難に苦しんでいる折から、遺跡の調査、整備は大変であるが、鬼北地域の発展のためにもより一層の尽力を期待したい。
【参考】祝!等妙寺旧境内が国指定の史跡へ