二通りに解釈できる言葉遣い

つい先日のこと、テレビ番組の中で若い人が、「凄い人が沢山居た。」と言っていた。文字通りに取れば、「凄い人」が「沢山居た。」だが、そこに「凄い人」は一人も出て来なかった。どうやら「凄く人が沢山居た。」の意味だったらしい。これとて言葉の順序がおかしく、「人が凄く沢山居た。」と言うべきだ。「凄い」と言う言葉は、名詞に掛かる場合は「凄い」で良いが、動詞や形容詞に掛かる場合は「凄く」なのだが、随分前からこの区別が消えてしまい、最近ではどちらも「凄い」で済ますようになってしまった。しかも語順に無神経なため「凄い人が沢山居た。」のような、二通りに取れる表現を平気でやる。自分が言いたいことが正確に伝わるように、言葉遣いに気を付ける神経は全く持ち合わせていないらしい。こんな言葉遣いをしていては、意思の疎通は覚束ない。下手するととんでもない誤解を生む惧れすらある。困ったことだ。