トーマス・L・フリードマン氏が伝えるイラクの或る出来事

泉幸男氏のメルマガ「国際派時事コラム「商社マンに技あり!」第248号に、『イスラエルを訪問したイラク国会議員をめぐって』と題して、イラクで起きた注目すべき出来事を伝えている。全文を引用する。

普通の国へと脱皮途上のイラクの、ある出来事。
中東に強いコラムニストのトーマス・L・フリードマン氏が11月30日の『ニューヨーク・タイムズ』紙に書いていた。
 
■ 法の番人、登場す ■
イラクの現行法では、イスラエルへの渡航は死刑が適用される犯罪とされる。1950年代にできた法律だ。
最近、スンニー派の国会議員の ミタル・アル・アルシ(Mithal al-Alusi) 氏が、テロ対策セミナーに参加するためイスラエルへ行った。
国会議員は訴追免除の特権があるので罰せられないはずなのだが、国会の一部勢力が議員のイスラエル訪問を問題視して、特権剥奪を画策した。
法の番人として、イラクの連邦高等裁判所が国会に対して通告した。
「訴追免除特権の剥奪は許されない」と。
11月24日のことだった。
 
■ 勇気と、言論の自由があってこそ ■
≪それだけではない。イラクの Al-Umma al-Iraqiyya 紙がアルシ議員擁護の公開状を掲載した。
公開状に署名した 400名の知識人は、クルド人もいればアラブ人もいた。
これは極めて勇気のいることであり、しっかりとした言論の自由がなければできないことだ。
今日、他のアラブ諸国で、裁判官たちが自らの判断で政府に対してイスラエルを訪問した議員を訴追してはならぬと述べたり、知識人がそれを言論機関を通じて大っぴらに擁護するなどということは、とても想像できない。≫
かのフリードマン氏がそう言うなら、信用しよう。
 
連邦高等裁はまた、「新憲法では国民がいかなる国へ渡航することも禁じていないのであるから、アルシ議員の訴追そのものが違法・違憲である」と付け加えたという。
法治がテロに勝利しつつある証しと言えるだろう。

泉氏が言うようにフリードマン氏が言うのだから実際にあった事実とするなら、この出来事は一般の認識とは違い、イラクは立派な法治国家であり、言論に自由がしっかりと確立し、更に部族や宗派を超えて守るべきものを、勇気を持って守っていることを示すものである。イラクを見直す必要がありそうだ。