台湾に八田公園 地域間交流の大きな果実

泉幸男氏のメルマガ『国際派時事コラム「商社マンに技あり!」』の5月14日付けの第268号に、『台湾に「八田公園」 地域間交流の大きな果実』と題する北国新聞の5月13日付けの社説が紹介されている。北国新聞のサイトにアクセスしたが、もう見れないので、メルマガに載った社説全文をここでも紹介する。

台湾に「八田公園」 馬英九総統が墓前際で発表

 台湾の馬英九総統が金沢出身の土木技師、八田與一夫妻の墓前祭で、烏山頭(うさんとう)ダム建設に尽くした功績をたたえる記念公園の整備計画を明らかにした。

 金沢から毎年墓前祭への参加を続けるなど、八田技師を通した両地域の地道な交流がはぐくんだ果実といえ、次世代の交流に新たな道を開くうえでも大きな意義がある。

 計画の詳細はこれからだが、台湾における八田技師の足跡を後世に伝えるとともに、日本と台湾双方で交流の担い手を育てる場としてぜひ実現させてほしい。

 台湾では戦後、日本人の顕彰は「植民地時代の正当化」とみなされ、日本人の銅像などが廃棄される時代があった。そのなかで唯一残ったのが八田技師の銅像である。

 烏山頭ダムの恩恵に感謝する地元住民らが墓前祭を続け、そこに八田技師の地元である金沢の人たちも加わった。

 記念公園の具体化はそうした付き合いの延長線上にあり、正式な国交のない日台間で民間レベルの交流が果たす役割の大きさを示している。

 大きな顕彰事業が台湾総統の肝いりで動き出すことは、過去の経緯を振り返れば感慨ひとしおである。

 烏山頭ダム近くには建設当時の宿舎や八田家が暮らした家屋が朽ちた状態で残っている。計画では4棟を復元整備して関係資料などを展示し、2年後に一帯を記念公園としてオープンさせる。

 台湾は今年を台日特別パートナーシップ促進年に位置づけている。公園計画には、日本に批判的とみなされてきた馬総統が対日重視の姿勢をアピールし、日本からの観光客誘致につなげたいという狙いもあろう。

 日本との関係強化は歓迎するとしても、せっかく整備するからには、台湾の日本語世代を中心に語られてきた八田技師の志や功績を現地の若い世代に引き継ぐ場としての活用も期待したい。

 今年の墓前祭には八田技師の母校、花園小の児童も参列し、技師の賛歌を披露した。児童にとっては日本で思っていた以上の技師の存在感の大きさに触れ、生涯忘れ得ぬ貴重な体験になったに違いない。

 八田技師を縁に新たに動き出した取り組みやそれを担う次世代の交流を大きく育てていきたい。

NHKのJAPANデビューでは八田技師について一言も触れなかった。被取材者が語ったにも拘わらず、全部カットした。この一事を見ても如何に偏向し、歪曲した番組であるかが判る。NHKは番組の誤りを謝罪し訂正し、馬英九総統が発表したこの計画を大きく報道すべきである。今、NHKの本質が問われていることを肝に銘じて、誠意ある行動を見せて欲しい。