壮絶な試合を制しフェデラー6回目の優勝

5−7、7−6、7−6、3−6、16−14と計77ゲーム、4時間18分に及ぶ壮絶な試合だった。終盤近くまではロディックが押し気味だったと思う。ロディックは以前とは全く違う別人のようなプレイを見せた。昔は強打で押し捲るプレイだったが、昨日のロディックは緩急を織り交ぜ、厳しい所に打って相手に十分な態勢を作らせず、甘く返って来た球を決めるというフェデラーのお株を奪ったようなプレイを展開した。特に自分のサービスゲームでは、220kmを越す強烈なサーブをびしびし決め、フェデラーが果敢にブロックしても、返すのがやっと。その甘い球をきちっと決め、最後の最後までブレイクを許さなかった。セカンドサーブでもかなりのスピードの球が良いコースに入るので、流石のフェデラーもレシーブ・エースを決める場面が無かった。
一方フェデラーはサービス・エースを連発して対抗し、第二・第三セットはタイブレイクに持ち込んでセットを奪ったが、第一・第四セットは一回ずつブレイクを許して2−2。ファイナルセットとなった。ファイナルセットはタイブレイクが無く、2ゲームリードしないと勝てない。ロディックは一度もブレイクを許さず、対してフェデラーは2回ブレイクされているので、ロディックに分があるかと思われた。だが両者サービス・キープを続け、いつ果てるとも判らない進行だった。陽も傾きコートにスタンドの陰が伸びてきて、この分では日没で中断も有り得るかと思った30ゲーム目、ロディックのサーブに対するフェデラーのブロックが、この試合で始めてベースラインぎりぎりの深い所に決まり出し、ロディックのミスショットを引き出した。このゲームでロディックは2本か3本、フレームショットをやったが、フェデラーの返球が落ちた辺りは芝が荒れていたので、イレギュラー・バウンドしたのではなかろうか。結局これが命取りとなってロディックは始めてサービスをブレイクされ、ファイナスセットは16−14でフェデラーが制することとなった。
ロディックは終止押しながら、あと一つを取ることが出来ず準優勝に終わったが、見事な変身の成果を披露して、フェデラーを土俵際に追い詰めた健闘を称えたい。フェデラーは自分の試合展開が出来ず、耐えに耐えて、最後一瞬のチャンスをものにして優勝を勝ち取った。押されながらも最後まで崩れなかった精神力の強さは驚嘆に値する。勝負なので勝ちと負けに分かれるのは止むを得ないが、この壮絶な決勝戦ウィンブルドン大会を飾る激闘として、長く歴史に残るだろう。素晴らしい試合でテニスを堪能させて呉れた二人の選手に拍手を送る。