宇高連絡船遂に廃止

長い歴史のある宇高連絡船が遂に廃止される。社長は会社のプライドで続けて来たが、高速道路料金を1000円にするなど、国の無策に敗れたと語った。
昔、急行瀬戸に乗ると、東京を出て東海道線山陽本線をひた走り、岡山で別れて宇野に至り、夜寝ている間に宇高連絡船に積まれて海を渡り、高松で予讃線に乗り入れ、宇和島まで乗り換え無しで行くことができた。車両ごと海を渡るのは暫く後に廃止されたが、宇高連絡船は本州と四国を結ぶ重要航路として永い歴史を持つ。
瀬戸内海には各地を結ぶ航路が網の目のように張り巡らされていた。それが自動車が普及し、国内航空路が整備されるにつれて次第に経営が苦しくなって来たが、それに止めを刺したのが高速料金を1000円にしたことだった。これで一挙にフェリーや高速艇などの航路が次々と廃止に追い込まれ、遂に宇高連絡船も廃止の運命となった。
影響は船だけでない。JRも地方鉄道もバスも経営が圧迫されている。このままではマイ・カー以外の交通手段は総て成り立たなくなってしまい、交通手段の多様性が失われる。
多様性を失ったものは脆いことは言うまでもないことである。もし大地震などの災害が起きたらどうなるか。容易に沿う想像できることである。非常時だけでない。岩国の従兄弟の家まで以前は三津から高速艇で1時間ちょっとで行けたのが、今は柳井港へ渡り、JRに乗り換えて岩国まで行くか、今治へ出てしまなみ海道を渡り、尾道から岩国まで走るしかないく、時間も労力も何倍も掛かる。更に、島々を結ぶ航路が無くなれば車で走るしか無く、島の車を持たぬ人は動くことが出来ない。
宇高連絡船の社長が政府の無策と言った気持ちは良く判る。高速料金の値下げところか無料化などとんでもないことで、無策と言うより悪政と言っても過言では無いと思う。