頭抜けた出来を見せた高橋大輔

高橋大輔は4回転ジャンプこそ転倒したが、その後は見事な出来で優勝。小塚崇彦も良い出来だったのだが、高橋の出来は段違いだった。高橋がいなければ小塚が圧勝だっただけに、小塚にとっては不運であった。
勝負の世界では良くあることで、古くは水泳の古橋と橋爪。古橋がいなければ橋爪に対抗出来る者は当時いなかった。だが二人の勝負は常に古橋が僅差で勝ち、栄冠は古橋の頭上に輝いた。特にロンドン五輪と同じ日に行われた1500mの決勝はタッチの差で、まさに最後まで手に汗握る勝負だった。その報がロンドン五輪のプールサイドに届くと、完全優勝を成し遂げたアメリカチームのキッパス監督は、おめでとうと一言言ったまま監督室に飛び込んでしまったと言う。この二人が出場していたら、400m以上ではアメリカの勝利は無かったのだから、キッパス監督は複雑な心境だったと思う。
将棋でも大山名人と時期が同じで埋もれてしまった人が居た。だが小塚崇彦が永遠に二位止まりでは残念。彼にもいつか栄冠を握らせたいものだ。