瓦を出張して焼く理由

何故瓦を出張して焼いたのか。あくまで推測だが、二つの理由が考えられる。第一は、瓦は寺院か城などで使われるだけで、瓦産業が各地で成り立つ程の需要がなかったため、瓦を焼く職人集団は泉州など、特定の地に存在するだけだったのでは無いか。ところが大量に受注し、納入先が遠い場合には、造って運ぶには手間も費用も掛かりすぎるので、版木を持って納入先の近くに行き、そこで窯を作って現地生産をしたのではなかろうか。
このように考えると、湯築城、岡豊城、中村城で出土した同笵瓦の土質が異なるのも当然のこととなる。