伊方原発も運転差し止めが妥当

津地裁で高浜原発3号機と4号機の運転差し止めが決定された。「過酷事故対策や緊急時の対応方法に危惧すべき点がある」との理由からである。
伊方原発3号機についても運転差し止めを求める訴訟が続いているが、大津地裁の運転差し止め理由を適用すれば、伊方原発も運転差し止めが妥当と考えられる。理由は色々あるが、主要な2点を指摘しておく。第一は、伊方原発の直ぐ目の前を中央構造線が走っている。伊方原発にとっては南海トラフ震源とする南海地震よりも、中央構造線震源とする地震の方が怖い。原発の安全を保つには、停める・冷やす・密封するの3つが肝要である。ところが中央構造線が動いた場合には、震源が近すぎて、p波とs波の到達時間差が1秒より遥かに短いため、s波が到達するまでに制御棒の投入を完了できない。つまり反応を停めることが出来ない。これで原子炉の安全を保証できるのか。第二は基準地震動の想定が余りにも小さすぎる。四電の想定は570ガルだが、中村知事の要望に応えて1000ガルに耐えるよう補充工事を進めていると言った。しかし、再三指摘したように神戸では2000ガルを、岩手・宮城内陸地震では4022ガルを記録していることを思えば、1000ガルでも想定が低すぎる。この二点を高知大の岡村教授やその他の専門家が再三指摘しても、四電は一切答えようとしない。
福島原発に関しても東電はあのような大きな津波は想定出来なかったと、想定外であったと強弁したが、実は想定より遥かに大きな津波が襲来する可能性が有るとの報告書が出ていたが、何ら手を打たなかったことをひた隠しにしていた事実が最近明らかになっている。四電の態度もこれと同じである。そうである以上、大津地裁と同様の判断を下すのが正しい態度と確信する。伊方原発については広島在住の方が運転差し止めを求める訴訟をもう一つ起こすと報じられているが、厳正な判断を求めたい。