稀勢の里横綱へ

横綱稀勢の里が誕生した。先ずはおめでとうと言っておこう。
横綱稀勢の里に対する世間一般の見解には同意しかねる点が多い。強さに関してはもう何年も前から稀勢の里が一番だった。朝青龍を立ち合い一発の当たりでぶっ飛ばしたり、連勝街道を突っ走っていた白鵬を倒したり、強い時の稀勢の里は抜群に強かった。所が人が変わったように弱い稀勢の里がひょいと顔を出す。この二人は全くの別人だ。先場所も三人の横綱を倒しながら、下位の力士に三敗もしてしまった。横綱審議会で安定感は抜群と評したと聞くが、勝負の世界で強きを挫き弱気を助けるは通用しない。とちらも圧倒してこそ安定感抜群と言える。今後は弱い稀勢の里を完全に封じ込めて、文句なしの安定感を示して欲しい。
稀勢の里は30歳を過ぎている。それを以て遅いと言う評があるが、昔は30を越えなければ血の道が治まらないとして、横綱は30を過ぎてからと言う考え方があった。横綱とは地位で無く称号であるからには、このような考え方が有っても可笑しくない。
そこで思うのは、横綱昇進と言う言葉は可笑しいのではないか。大関が最高の地位であり、横綱はその大関の中で品格の特に優れた力士に許される称号であることを考えれば、横綱の称号を許されることを昇進と言うのは正しくない。横綱の称号を許されても地位は大関である。だからこそ千秋楽の結びの一番に勝てば大関に適うとして弓を授けられる。是より三役の相撲に横綱は出て来ないのは地位が上位三役の取り組みだからである。と言うことから横綱の称号を許されることを何と表現したら良いのか、適切な言葉を見付けて欲しい。