「その時歴史は動いた『源義経 栄光と悲劇の旅路』」批判−その9

以上述べたように河野氏は壇の浦合戦の時寝返ったのではなく、最初から旗色鮮明に反平氏で戦い、源氏の勝利に大きく貢献した。先に紹介した屋島合戦に関する平家物語吾妻鏡の記述に気が付かないのか無視したのか知らないが、天下のNHKが教養番組である「その時歴史は動いた」の中で、史実と全く違うことを平気で語る無神経さに憤りを感じる。その責任は重い。宮尾登美子氏も歴史を見る目を持っていないと断ぜざるを得ない。
吉川英治氏は「新平家物語」の中で、通信から田内勢が出て来たとの連絡を受け、でかしたと誉めそやしたと書いていると聞く。平家物語吾妻鏡の記述から肝腎なポイントにきちんと注目している証拠であり、流石と言うべきである。
述べたいことはまだあるが、屋島合戦に関する私見はここで一先ず終わりとする。