ジーコ批判は当たっているか?

ジーコが無能だったとの批判が多いが、本当にそうだろうか。「ジーコ監督のチーム作り(2006-05-30)」に書いたのだが、ジーコは選手が一人立ちできるよう、そして自立した選手がその場その場の状況に応じて組織的に動くよう指導したのだと思う。トルシエの段階では組織プレイを教え込み、選手は定められた通りにプレイするのが精一杯だった。どちらが良いかではなく、前WCの段階ではトルシエ流しか無く、今回は個々の選手が自立心、自主性を基盤とするプレイを身につける段階で、それにはジーコが必要だったのではなかろうか。この点については川淵チェアマンがはっきり言っていたことだから間違い無いと思う。そうであるなら、今年のWCに至る4年間は、どうしても経なければならぬステップであった筈である。
ブラジル選手はフェイントモーションと言って良いのかどうか知らないが、自分の動きで相手選手をそちらに引っ張り、その瞬間に逆方向に動いて相手ディフェンスに穴を開けてしまう。ほかの選手も同じようにイメージを描いて最適な位置に飛び出す。このようなプレイは個々の選手がプレイの展開をイメージ出来るからこそ可能な芸当である。状況が時々刻々変化するサッカーで、全員が共通のイメージを描いて連携プレイを展開するのは、全く凄いと思う。そのブラジルに発展途上の日本が勝てるはずはなく、一点を先制したのは褒めて良い。
ジーコは選手全員が状況に応じてプレイのイメージを描き、そのイメージに沿って連携プレイを展開出来るチームに仕上げようとしたのだと思う。それが出来るようになれば日本も一流国になる。ジーコが撒いた種はやっと芽を出し始めたばかりだが、選手が瞬間瞬間で描いたイメージで連携プレイを展開した場面もあったのだから、これを更に伸ばして行けば、いつか大きな花を咲かすだろう。それには相当な時間を要するが、この種を蒔き、芽を出しはじめる所まで引き上げたのはのはジーコの功績として評価し、感謝すべきだと思う。