斎藤投手の最終回のピッチングに感嘆

最終回の斎藤投手のピッチングは、投手の心理と言うものを推測させる面白い内容を含んで居た。8回まではコントロールに重点を置き、それこそ8分の力で投げていたと思う。140km/h台の速球は無かったので、疲れかと心配していたが、9回表にいきなり140km/h台の速球を2本続けたので、それまでは抑えていたのだと確信した。何故9回にこのような速球を投げたのか。それは最終回となり、3点リードしていたので、力勝負を挑んだのではなかろうか。ところが8分の力の投球から全力投球に切り替えたため、体のリズムが狂い、次に投げた変化球がそれまでの際どいコースに行かず、高めに入ってしまって痛打された。次の打者の初球もリズムの修正がならぬまま、また浮いてしまいスタンドに叩き込まれてしまった。この二人の打者に対した時は、力勝負をしようとの気負いから来る力みがあったのかも知れない。
斎藤投手の凄いのはこの後、自分の投球をきちっと修正したことだ。直ぐに8回までのリズムを取り戻し、続く二人の打者を簡単に討ち取った。最後に迎えたのは苫小牧の田中投手。すると今度は力むこと無く147km/hの速球を投げ込み、2ストライク目は外角の変化球。そして最後はそれまで同様外角低めぎりぎりの落ちる球と予想させておいて、何と外角に144km/hの快速球。これではタイミングが合う筈は無く、見事に空振りの三振に仕留めてしまった。
2点を取られた後の気持ちの切り替えと投球の建て直しは、とても高校生の出来ることではない。冷静な状況把握と判断力、そしてそれに基づく修正力とでも言うものを彼は持っている。横浜高校が優勝した時の松坂投手に優る投手と見た。大成して欲しい投手である。