理を説き筋を通した松下幸之助

川崎重工がどのような条件で中国に新幹線を売ったのか知らないが、恐らく只取られに近いのではないか。筋の通らぬ話を何故呑むのか、全く理解に苦しむ。その正反対だったのが松下幸之助。日中国交回復後、請われて中国を訪問した。中国幹部はテレビを自分で作るから、作り方を教えて呉れと言った。松下幸之助はテレビが欲しいなら一万台でもやるが、ノウハウは会社の財産だから、只で教えることは出来ないと突っぱねたそうだ。中国幹部はマルクス唯物論信奉者だから、物に価値はあっても形の無いノウハウに価値が有るとは思っても居なかったのだろう。始め幸之助の言うことがさっぱり理解出来なかった。そこで幸之助は懇々と説明し、納得させたと読んだ覚えがある。彼等にとって幸之助の話は考えたことも無い驚天動地だったであろう。折角幸之助が筋を通し、理を説き、その先の道筋をつけたのに、中国の甘い餌に目がくらんだのか、脅しに屈したのか、我が国が苦労を重ねて開発した技術を献上してしまうとは、情けない話である。幸之助がさぞ嘆いていることだろう。