普天間問題の交渉はスタート地点を間違えた?

普天間飛行場の移設問題について鳩山政権は結論先送りしたが、米上院は駐沖縄海兵隊8000人のグアム移転に関する予算を満額可決した。これは少々意外だったが、アメリカの現時点での本音は普天間基地を全部グアムに移転したいのかも知れない。
では何故日米合意の履行を迫るのか。アメリカの国防長官はブッシュ政権の国防長官であり、その人物を留任させることで、国防については前政権からの一貫性を内外に示している。普天間基地問題でも当然一貫性を崩すわけには行かず、国と国との間で取り決めた日米合意からスタートする姿勢を保っているのだろう。ところが鳩山政権が合意を前提としないと言い出したので、交渉のスタート地点が食い違ってしまい、これでは交渉は成り立たない。
もし日米合意を前提として交渉をスタートさせ、合意内容の修正と言う形で持ちかけていたなら、案外簡単に決着が着いたのではなかったか。アメリカが本当は全部グアムに移したいのだが費用の問題があるとするなら、辺野古への移設費用の一部または全部を提供すると言う条件を提示したらどうなっただろうか。
もっと深刻な問題があるのかも知れないが、どうも交渉方針を間違えた気がしてならない。だが、鳩山首相が態度を明確にしないでぐだぐだ言っているのは見せ掛けで、実はグアムへの全面移転をアメリカが言い出すのを待っているのなら、大した狸と言うべきだが、実態はどっちだろうか。