稀勢の里引退

 稀勢の里が引退。残念だが仕方無い。悔まれるのは、負傷した後、治療を優先しなかったことだ。中途半端な状態で出場したことが最大の失策。勝負事は故障を抱えた状態で勤まるような甘いものでは無い。何故休場して治療しなかったのか。先代師匠の鳴門親方だったら休ませたのではなかろうか。全く取り返しのつかぬ間違いを犯してしまった。今一つ、何で見たのかは忘れたが、或るお医者さんが。「稀勢の里の怪我は完治することは無い。」と語っていた。それが自然治癒は望めないと言う意味だったか、手術をしても完全には治らないと言ういみだったかは記憶にないが、その言葉通りになってしまった。
 稀勢の里の相撲で思い出されるのは、立ち会い一発で朝青龍を崩した相撲と、白鵬の連勝を二回も止めた相撲の計三番だ。この時の相撲を見る限り稀勢の里が一番強いと思われた。そうかと思うところりと負ける。強さと弱さが同居し、歯がゆさを感じさせる力士だった。それが横綱となり、漸く安定したかと安堵した途端の大怪我。全く一寸先は闇。強い横綱の期待は潰れてしまった。
 こう見て来ると何とも悔い多き相撲人生だったか。相撲ファンとしても残念でならない。この上は立派な後継者を育てて貰いたい。最後にお疲れ様でしたと申し上げる。