安保理が対北朝鮮決議を全会一致で採択

7章関連を削除した対北朝鮮決議を安保理が全会一致で採択した。本件は日本が初めてイニシァティブを取った外交交渉ではなかったか。交渉事で100%満足の行く結果は得られる筈は無く、妥協が付き物である。本件では制裁を義務付けることは出来なかったが、中国が議長声明でお茶をにごそうとする画策を封じ、安保理決議を実現したことは評価して良いと思う。中国は辛うじてメンツを保ったが、北朝鮮に対する大きな義務と責任を背負ったことになり、負担は計り知れないものがある。
一方北朝鮮は採決の45分後に拒否を声明した。ボルトン国連大使曰く、「世界新記録になるだろう」。北朝鮮は強がって済む問題でないのに、今後どうする積もりか。訪朝していた回良玉副首相が金正日総書記のメッセージを託されたそうだが、何が書かれているのか興味深い。
韓国は、「国連制裁決議案に反対表明」したり、「中国が拒否権を行使してくれることを期待する」と言ったり、大統領が「ミサイル発射は政治的行為」とアメリカを批判したりしていたが、いまになって外交通商部当局者が「安保理決議案採択を歓迎」と、「これまで韓国政府は北朝鮮のミサイル発射に対し国際社会とともに厳重な警告をしてきた」などと面の皮の厚い発言をしている。政府の態度は到底理解出来ないものばかりだが、マスコミは比較的まともな論調が目立つ。朝鮮日報の社説「対北決議案では仲間外れ、北からは平手打ち」やコラム「北朝鮮のミサイルが命中したもの」その他である。
今回の一連の経過は、外交における交渉や駆け引きを、自分に関わる問題として注視することが出来た。外交問題をこんなに身近に感じることは滅多にない。本件は日本人の外交に対する目を開かせた点でも意義深く、多くの国民にとって貴重な経験であったと思う。