辻褄の合わない梨田監督の退任報道

梨田監督が今シーズン限りで退任すると各紙がいっせいに報じている。ところがその報道には幾つも辻褄の合わない文言が見られる。
先ず47NEWSに掲載された共同通信の『日ハム梨田監督が退任表明 「最初から決めていた」』である。これは各紙に掲載されている。短いので全文を紹介する。

プロ野球日本ハム梨田昌孝監督(58)は15日、契約最終年の今季限りでの退任を表明した。東京ドームでのロッテ戦前に記者会見して「最初からことし一年と心に決めて臨んでいた」と話した。8月下旬から退任の意向を球団に伝えており、14日の最終的な話し合いで了承された。
公式戦を30試合近く残しての異例の辞任表明には、後任監督選びに配慮したと説明。「リーグ優勝を狙っていく。優勝が駄目でも勝ち上がって日本一を取りたい」と残りのシーズンへの意気込みを話した。
後任監督について、球団幹部は「簡単に決められるものではない」と話しており、これから人選を本格化させる。

タイトルは退任表明なのに、記事の中には辞任表明とある。どうやらこれを書いた記者は退任と辞任の区別が出来ていないらしい。記者だけでなく、チェックしたデスクも判っていないと見受けられる。
次はデイリースポーツオンラインの『梨田監督退任 V争い中…異例会見』である。この記事で先ず目に付くのは「リーグ優勝しながら退任した前任のヒルマン監督」と言う文言である。退任したのは契約が満了となったからである。契約満了となったら再契約しなければ退任するのは当たり前のこと。従ってこの一文は辻褄が合わない。「リーグ優勝しながら球団の契約更新要請を辞退して勇退した前任のヒルマン監督」と言うような文言なら話は通じる。
次に奇妙なのは「梨田監督が8月末に退任の意向を示し、慰留していた球団が」とのくだりである。契約を満了すれば退任するのは当たり前のこと。わざわざ退任を表明するまでもないのにそれをしたと言うことは、球団が契約更新を要請していたのだろうか。梨田監督がその要請を辞退したので、退任を表明という発表になったのだろうか。また球団が慰留というのもおかしい。慰留とは辞意の表明に対して使う言葉である。退任するのを慰留とはおかしい。矢張り球団は再契約を希望していたが梨田監督が辞退したものと推測する。
どうも記者の日本語が怪しくいようだ。日本語能力の向上に努めて欲しい。