逸ノ城 白鵬を破る

立つなり白鵬が左前まわしを引き、逸ノ城の右差し手を殺し、白鵬有利な態勢と見えた瞬間、逸ノ城が差し手を抜き小手投げ気味に白鵬を右腕で押す（突く？）と、白鵬はばったりと土俵に手をついてしまった。
逸ノ城が差し手を抜いた時、白鵬は締め付けていた対象が無くなったためか、気のせいかも知れないが僅かにバランスを崩し、体が揺らいだように見えた。その瞬間に押された（突かれた？）ので堪えることが出来なかったのだろう。始めて見る決まり手で、成るほどこんな手があったのかと驚いたが、逸ノ城としても考えてやった手ではなく、咄嗟に体が自然に動いた結果だったのだろう。体が自然に動いて考えてもいない技が出るのは、極めて集中している時に起きる現象である。
逸ノ城が花道を入って来た時、解説の北の富士が「今日の逸ノ城は恐い顔をしている」と言っていたが、今日の逸ノ城の集中の度合いが凄かったのを北の富士が感じ取ったのかも知れないと思う。今場所は照ノ富士と逸ノ城が楽しみだ。