シャープが液晶新工場建設

シャープが堺市に液晶新工場を建設する。敷地面積はかの有名な亀山工場の4倍と言う。亀山工場は製造装置のメンテを総て自分でやり、装置を納入したメーカーもシャットアウトすることにより、技術の流出を防いだ。そのため液晶メーカーはシャープに追随できなくなり、大型液晶パネルの製造を断念したメーカーもあるそうだ。
製造装置というものは納入時に完璧であるとは限らない。むしろ稼動させながら欠陥を改良することにより、本当に実用となるものだ。それまでのメンテや改良には製造メーカーが関与するのが普通である。それを亀山工場では総ての改良やメンテを自社でやったばかりでなく、関係のない部門の人間はシャープ社員であっても立ち入りを禁じたと言う。
この話を聞いた時、昔の或る装置のことを思い出した。半導体産業が始まって間が無いころのこと、某社が開発したペレットの自動検査選別機を購入した。その社からは開発一号機を買ったこともあるが、動くようになるまで苦労の連続であった。このマシンは他社に何台も納入した後なので十分に改良されていると期待したが、案に相違して故障の連続だった。製造ラインが止まっては飯の食い上げ、トラブルが起きる都度、旧に復するのでなく、故障の原因を追究し、故障原因を無くすよう改良して行った。暫くすると止まることも無くなったが、その時は外観は同じだが中身はすっかり変わってしまっていた。そんな折、他社が参観に来てそのマシンが動いているのを見て、「この機械、動くんですか」と吃驚していた。そこまでの改良を製造メーカーに任せていたら、その成果は他の納入先にも流れてしまう。自分達で改良したので、製造メーカーを通じて成果が他社に流れることはなく、わが社以外では全く使いこなせなかったようだ。この経験があったので、亀山工場の狙いは我が意を得たりと同感できた。堺市の新工場でもこの方針は貫かれるだろう。