NHKスペシャル「真珠湾攻撃の謎 知られざる国際情報戦」

72年前の今日、大東亜戦争が始まった。NHKは放送の中で太平洋戦争と言っていたが、これはアメリカの呼び名であり、日本は太平洋だけで戦ったのではない。アメリカから見れば日本との戦いは殆んどが太平洋を舞台としたものだが、日本側から見れば違う。NHKはもっと真実を見なければいけない。
放送内容も甘い。近年公表された史料から明らかになった知られざる国際情報戦と銘打っているが、殆んどが既に知られていることばかりで、当時アメリカ軍の中枢に居た将軍の著書にもっと詳しく述べられている。今日の放送で語られた情報戦が何故繰り広げられたかと言う視点が抜けている。同書によると、当時の状況はソ連や英国はドイツの攻撃で崩壊寸前の状態にあり、中華民国も日本軍に押し捲られ、何れもアメリカの救援に頼るしかない状態だった。ところがアメリカの世論は参戦を望んでいない。そのアメリカを参戦させるには、日本に手を出させるしかない。そのために各国は日本が開戦に踏み切るしかない状況に追い込むため必死の策をつくした経緯が語られている。近年公開された史料に基づく今日の放送内容は、上記米将軍が語る内容と食い違う点は無い。つまり今日の放送は同将軍が語る内容が真実であることを証明するものであり、その点では価値が高い。しかし、その情報戦を繰り広げた背景に切り込んでいないのは突っ込み不足で、関係各国の切羽詰った状況や、その状況を打開するための必死の画策にまで目を向けて欲しかった。そこまで突っ込めばあの戦争が何故起こったのか、その真の姿を明らかにすることができたのではなかろうか。