倭国通史

先週初めに「倭国通史」(ココ)に出会い、昨日漸く読み終えた。今まで日本古代史について色々な説を読んだが、その中でこれが一番納得が行く。100%同意という訳ではないが、多くの疑問を晴らして呉れた。一番驚いたのは魏志倭人伝に記されている「倭国」と「邪馬壹(臺)国」とは別ものと言う説だった。どちらも女王を戴いているので紛らわしいが、言われて見てなるほどと得心が行き、これをしっかり認識すれば倭と日本は明確に区別でき、中国の史書にもはっきり区分されていることも判った。その点をしっかり認識すると、邪馬壹(臺)国は九州が大和かと言う論争が馬鹿げたものに見えて来る。
今一つ想像外だったのは、日本書紀が決して欺瞞・造作ではなく、「倭国不記載」の原則を貫きつつも、「一書に曰く」と注書きの形で真実に迫れるようになっていると言うことである。凡そ歴史を完全にでっち上げることは不可能である。記紀がでっち上げだとすると、記紀が出来上がったばかりの時代の人たちには直ぐ判る筈である。だから記紀が嘘っぱちを書いたなら、直ぐにばれてしまい、ばれたという話が伝わるはずだがと疑問が一杯だった。倭国通史の論述を読み、非常にすっきりした。
これを論じた人は高橋通さんと仰る工学博士、凄い方がいらっしゃるものと感服するしかない。大筋は納得したが、細かい点まで一度では頭に入らない。何度も読み返すとなるとどれくらい掛るか。大変だがもやもやが一気に晴れ、展望が開けた感がするので楽しみだ。