日亜化学が中村氏との面会を断る

ノーベル物理学賞中村修二氏(60)が、発明の対価を巡る訴訟で戦った日亜化学工業徳島県)の社長に面会を求めたところ、日亜化学は「感謝で十分」だとして面会を断った(ココ)。
この報道を見た時、正直意外な気持ちだった。中村氏が文化勲章受章後の会見で。今まで散々批判して来た日亜化学との和解を口に出したのは、すでに日亜化学と話が通じていて、先方も承知した上でのことと思ったのだが、事実は全く違ったらしい。記者会見の場で唐突に持ち出したのでは、中村氏の一人芝居であり、先方にどのような印象を与えるか判らない。
そもそも中村氏は、日本の研究者には自由が無いと言うが、その一方で創業者には感謝していると言う。中村氏は青色LEDの研究を創業者に直訴して認められ、3億円の研究費を与えられ、好きなように研究させて貰ったそうだ。これは最高に自由な環境を与えられたのであり、このような境遇を得た研究者が何人いるだろうか。研究費の3億円を捻り出すには、恐らく100億円くらいの売り上げを余分に挙げねばならない。つまり中村氏の研究は大勢の従業員の懸命な努力に支えられていたのである。中村氏がそれに対する感謝の気持ちを語るのを聞いたことが無い。
最高の自由を許してくれた創業者に感謝するのは当然として、それを可能にした大勢の従業員の努力にも思いを致すべきだろう。スレイブだなどとんでもない勘違いではないか。一匹狼で通すのは構わない。だが感謝を忘れ、他への批判が先に立つのは如何なものか。日亜化学が会見を断った気持ちも判る気がする。中村氏に謙虚さが加わり、更に大きく成長することを祈る。