「漢委奴国王」印の読み方

今日NHKの歴史秘話ヒストリアで国宝の説明をしていた。その中に金印「漢委奴国王」も取り上げて解説をしていた。その説明の中でこの印を「漢の倭の奴の国王」と読んでいたのに少々呆れた。何時までそんな筋の通らない読み方をするのか。この印は「漢の倭奴の国王」と読むのが正しい。それ以外は考えられない。
その理由は、金印は直臣に相当する国に授けるものであり、陪臣に当たる国には銅印を授ける。では「倭奴」とは何か。どこの国か。これは倭であろう。奴は卑字であって、この字を付けた例がある。それは「匈奴」である「匈奴」も国名は「匈」であるが、漢は国名に卑字の「奴」を付けて呼んだのであろう。「委奴」も同じで「倭」を簡略化した「委」に「奴」をつけて「委奴」としたと考えられる。
外交常識から考えて、直臣である倭国王を差し置いて、その配下の奴王に金印を授けたりするとは考え難い。それこそ外交上の大問題になるだろう。「漢の倭の奴の国王」と言う読み方は、ずっと昔に古田武彦氏が言った通り、外交感覚を欠いた説と言わざるを得ない。