広陵野村投手を狂わせた一打

広陵の野村投手は連戦の疲れにも負けず、素晴らしい制球力で、7回まで佐賀北の打線を完全に封じていた。その野村投手が8回に何故調子を乱したのか、少しばかり考察してみたい。
8回の先頭打者に珍しく高めの球を投げ、レフト前にヒットされた。この一球は疲れから来る変調の兆しだったのか、たまたま手許が狂っただけなのかは判らない。ここで佐賀北は変化球打ちの上手い左打ちの選手を代打に送り、見事に右前にクリーンヒットした。打った球はイン・ローに決まるスライダーだった。これはコントロール・ミスではない。野村投手の得意の球で、7回まで佐賀北の打者は全然打てなかった。その球を綺麗に打ち返されたのは、野村投手にとって凄いショックだったのではなかったか。次の打者に対して制球がままならなかったのは、そのショックを物語るように思う。抑えなければと言う意識からの力みが連戦の疲れに重なり、制球が思うように行かなくなったのではなかろうか。この狂いが次の次の打者に満塁ホームランに繋がる。この時も狙ったコースから大きく外れ、打ちごろの球になってしまった。
以上の推測が当っているとしたら、野村投手を崩す決め手となったのは、インローのスライダをヒットした一打である。あの場面で変化球打ちの上手い選手を起用した采配と、起用された選手が監督の狙い通り相手投手の得意球をヒットしたことが、優勝への道を開いたと言えるのではなかろうか。